「ハァン・・ダメェェ・イクぅぅ・・・」

「もっとちょうだい!!」

「出る出る出るぅぅぅぅ」

パチンッ!!パチンッ!!「もっと叩いてぇぇぇぇ!!」

 

店内の通路へ漏れてくる声を聞きながら歩いていると、

心臓の鼓動と緊張感は頂点に達し、今までにない股間の熱さを感じていた。

 

「本番NGないですけど2回イッたら終了で~す」

目も合わさず機械的な口調と準備が進められていく

 

「ボクはこれで彼女と・・・」

練習相手に選択肢は必要ない

機械的な相手でも目的はその先にある

 

5分後・・・「はい終了です、お疲れ様でした」

「時間までは部屋にいていいですよ」

相変わらずの口調だが、口元がニヤけている練習相手

手だけで2回イってしまった・・

「っ!?どうしたんですか!?」

悔しさでボクの顔はグシャグシャに泣き崩れていた。

「・・・彼女との・・本番が・・・」

声にならない感情が口から漏れ出した。

 

練習相手は入室時に支払ったお金を差し出しながら

「・・・明日・・また来て頂けませんか?」

と言って、申し訳ない表情のまま自分の過去を語ってくれた・・・

 

『彼が野外プレイに目覚めた事』

『野外以外ではイけなくなった自分の事』

『自分で誘ったプレイ中に震災で閉じ込められた事』

 

その彼は彼女を助ける為にガレキの下敷きになったという。

徐々に冷たくなる彼の手は次第に握る力もなくなり、

「お前は幸せになってくれ・・頼むぞ・・・」

最後の言葉が今でも頭から離れない。

【あの時、自分が誘わなければ】という後悔と共に・・・

「もう誰も愛せない」

「誰かを幸せにする事で自分が幸せになれる」

「彼への恩返しは自分が幸せになる事」と彼女は自分に言い聞かせきた。

そんな彼女だからボクを幸せにする為に、もう一度チャンスをくれた。

 

ボクは何の為に練習相手を必要としていたんだろう。

本番と練習相手の違いが判らなくなってきた。

本番相手の彼女のこともボクは経験を満たすだけの道具として見ていたのかもしれない・・

 

「・・これから、あなたと彼の最後だった場所へ行きませんか?」

無神経な言葉が彼女を突き刺す。

 

「・・・今から・・・ですか・・・」

「仕事が終わってからでも・・」

ボクは誘った事を後悔していない。

 

退室時間まで沈黙が続いた・・・

 

「・・・30分後・・裏の出口で待っていて下さい」

 

 

彼女を乗せた車は被災地へと向かった。

 

目的に辿り着いたボクは唖然とした・・・

車の照明だけが頼りの風景は平坦なコンクリートに覆われていた。

 

隣の彼女は涙を堪えている様だった・・

「ガマンなんてしなくていいのに・・・」

心の想いと同時に彼女の肩をポンと叩いた

 

彼女はヒザを着き抑えていた涙を解放させた。

「痛っ!!」

彼女のヒザに何か刺さったらしい・・・

 

「これは・・・」

薄明りで見えたモノは四つ葉のクローバーだった。

その小さなペンダントを握りしめ彼女は再び泣き崩れた。

《4つのハートを合わせた4合わせのクローバー》

・・・生前彼が【シアワセのクローバー】として大切にしていた事・・・

 

誰のモノかは判らないペンダント・・・

ボクは彼の『シアワセになってくれ・・』のメッセージを思い出す・・・

 

「・・・シアワセになって下さい・・」

ボクは思わず口走った。

ボクの気持ちが止まらない・・

「ボクに何か出来ませんか!!」

「どんな小さなきっかけでもいいんです!!」

「あなたのシアワセを作りたいんです!!!」

「あなたの事が・・あなたの事が・・・」

これ以上は涙で声が出なくなっていた。

 

ボクの顔は見苦しいほど泣き崩れている・・少しの沈黙・・・

 

「シアワセに・・なってもいいですか?」

彼女の強く握りしめられていた手からペンダントが手渡された。

泣く事しか出来なくなったボクは彼女の手を強く握り返し何度も何度も大きくうなづいた。

 

 

・・・あれから5年・・・

「ママのゆびわとおんなじ~」

小さな左手の薬指には四葉のクローバー・・

2つの指輪を重ね合わせながら

「どんな人と結婚するのかしら?」

「パパみたいなひととけっこんするんだっ!!」

「そうね、あなたもきっとシアワセになれるわよ」

シアワセを確信した未来の花嫁にやさしく微笑みかけた。

「ばぁばにもみせてくる~」

 

 

・・・始まりが悲しみでも結末はいつもシアワセでありますように・・・

・・・シアワセのクローバー・・・

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この記事を書いたセミプロ

ユキカズ佐藤

初代下試し王者。

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