金木陽子は幼い頃に両親と生き別れた。

当時の記憶は朧げながら、陽子は母親が言っていた二つのことを覚えていた。
一つは、自分達は甲賀の忍びの血を受け継いでいるということ、そしてもう一つは、陽子という名前は山田風太郎の「甲賀忍法帖」に出て来る陽炎という名のくの一から取ったということ。

陽子はたまにその母の言葉を思い出すことはあっても、自分の体に忍びの血が流れていると感じたことは一度も無かった。
ましてや「甲賀忍法帖」に関しては何のことだかさっぱりわからなかった。

両親と生き別れた彼女は、親戚の間を転々とした。
そして、最終的に身寄りの無くなった彼女を引き取ったのは、ストリップ劇場の主人 佐野であった。

当時四十歳の佐野は、五歳年上の妻の目を盗んでは踊り子達に手を出すような男であった。
他の踊り子同様に佐野に抱かれた新入りの陽子。
佐野、陽子が男に抱かれるのが初めてであったことよりも、彼女が膣内に無数の襞を有するいわゆる「ミミズ千匹」であることに驚きを隠せなかった。
その晩、佐野は陽子を「花電車」として育てることを思い立つのであった。

「花電車」とはストリップにおいて、女性の局部に挟んだ糸を引っ張りその先に結ばれたビールのプルタブを抜いたり、局部と客との間で引っ張り合った糸でリンゴを切ったり、局部で吹き矢やラッパを吹いたりというような女性の局部を使った芸の総称である。
また、「花電車」自体は元々、日露戦争凱旋将兵を歓迎するために装飾された路面電車が始まりであり、営業運転外で一般客は乗れない電車であることから「売春はしない」という意味で使われ始めたという。

甲賀の末裔である陽子。

彼女の忍びとしての能力は、この花電車によって初めて開花することとなる。

彼女の愛くるしい容姿と対照的に引き締まった肢体だけでも観客を惹き付けるに十分であったが、「ミミズ千匹」を体内に宿した彼女の花電車は締まり具合において余人の追随を許さず、アイディアマン佐野の企画力との相乗効果により一世を風靡した。
特に人気を呼んだのは「vs シリーズ」であった。

「花電車 vs 一本背負い」と題したステージでは、柔道部の中学生が一本背負いする黒帯を局部で挟んだ陽子が引っ張り、中学生に鮮やかな受け身を取らせ観客を沸かせた。
また、「花電車 vs  ボジョレーヌーボー」と題したステージでは、コルクに刺さったワインオープナーを見事に引き抜き、抜いたワインで観客と乾杯するというパフォーマンスが好評を博した。
ストリップ、花電車、そんな裏街道を突き進む彼女にスポットライトが当たったのは、中国の有名な故事を名前冠した某テレビ局の番組であった。
陽子の熱心なファンであったディレクターの肝入りで企画されたのは、

「ストリッパー vs パジェロ」。

甲賀の末裔として番組に挑む陽子。
彼女のプライドと技が炸裂するその壮絶な結末やいかに!?

公開予定無し。

役者、脚本家、演出家、撮影班、編集、すべて募集中。

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コメント

この記事を書いたセミプロ

Kitamatsu masataka

1980年生まれ。 座右の書は藤子不二雄「まんが道」。 代表作はカウパータイムスリップシリーズ。

2件のコメント

  1. KuboyamaShoichi on

    山田風太郎といえば「信玄忍法帖」もまた忘れがたい異形の傑作。
    本書に登場する忍者の最高キャラは「えびら坊」で、その忍法は巨大化する京人形。
    その巨大化の過程では脳味噌が沸騰するような独壇場をむかえ、その結末は忍法帖シリーズ壮絶のツッコミとなるので、是非とも陽子とのvsに加えていただきたい。

  2. Kitamatsu masataka
    Kitamatsu masataka on

    コメントおよびアイディアありがとうございます。

    最初は(角川文庫でなく)講談社文庫で忍法帖シリーズを読み始めた世代です。
    講談社文庫に「信玄忍法帖」は入ってなかったけど名前だけは気になって、当時 講談社の新書サイズの忍法帖シリーズで「信玄忍法帖」を古本屋で探し出して読みました。
    「信玄忍法帖」も傑作です。
    コメントしていただいたのは、女雛が横たわり男雛が覆い被さって・・・という奴ですね。
    思わず読み返して確認してしまいました。
    「忍法春水雛」ですね。

    「vs シリーズ」に可能性を感じました。

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