カウパータイムスリップシリーズ第二弾。

1930年
竹薮の中にしゃがんで抱き合う学生服姿の山内潔(18)と雪村早苗(17)。
手の甲に「X」の火傷がある潔の右手が早苗のスカートをさする。
早苗「ちょっと、そこはダメやって」
潔「ちょっとだけやし」
早苗「ダメやって!」
ドン!   と潔を押す早苗。
早苗を睨む潔。
早苗「私・・・お見合いさせられるんよ」
潔「誰と?」
早苗「材木屋の泰三・・・」
潔「泰三って・・・アバタの泰三?」

薄暗くなった山道を並んで歩く潔と早苗。
潔「お前、アバタの泰三なんかがええんか?」
早苗「そんな訳ないやろ! でもどうしようもないけん」
潔「なら、一緒に東京に出らんか?」
早苗「・・・」

夜空にどーん、どーんと花火が上がっている。
薄暗い駅のホームに立つ潔とその横に置かれた鞄を花火が照らす。
ホームの時計を見る潔。

風呂敷包みを抱えて竹薮の中の坂道を駆け降りて行く早苗。
「早苗!」
と暗闇から早苗を呼ぶ声。

煙を吐いて汽車が駅のホームに入って来る。
時計を見る潔。
と、アバタ顔の吉川泰三(19)が子分達を引き連れて駅のホームに駆け込んでくる。
泰三「早苗はおらんか!」
はっとして時計を見る潔。
汽車が汽笛を鳴らす。
汽車に飛び乗る潔。

どーん、どーんと上がる花火の下を汽車が走り去って行く。

1940年

ストーブが焚かれた喫茶店。

奥まった席に座る作業着姿の女(24)。
潔(28)が店に入って来てその女の向かいに座る。
女「椎田さんは、地下に潜りました。これからは私が連絡をします」
と封筒を差し出す。
潔「椎田さんが・・・」
女「その中の指示に従って下さい」
と席を立つ女。
「X」の火傷がある右手が封筒に触れる。

何もない四畳半のアパートで新聞を広げる潔。
新聞に「皇紀2600年祝典」の文字。
と、トントンとドアを叩く音。
はっとして耳をすます潔、しのび足で窓に向かう。
と、ドン!とドアに体当たりする音。
潔、がらっと窓を開けて、向かいの家の屋根伝いに逃げて行く。
ドアを壊して部屋に入って来る刑事
刑事「そっちに逃げたぞ!」
薄暗い牢獄。
下着一枚で床に横たわる潔。
膨れた顔、体中に無数の生傷。
1945年
辺り一面の火の海。
ばらばらと焼夷弾が落ちて来る。
足を引きずって逃げている潔(33)。立ち止まり呼吸を整える潔、空を見上げる。
花火が上がったように明るい夜空。
潔「早苗・・・」
と潔の目の前に焼夷弾が落ちてくる。

 

**********************

暗闇で目を覚ます潔。竹薮の中で寝ている。
どーん、どーんという音。
夜空に花火が上がっている。
立ち上がり、周囲を見回す潔。
潔「ここは・・・?」
竹薮をかき分けて歩いて行く潔。
と、目の前を風呂敷包みを抱えた早苗が駆けて行く。
はっとする潔。
潔「早苗!」
立ち止まり周囲を見回す早苗。
早苗「潔ちゃん?」
潔「ああ・・・」
と暗闇から声が響く。
早苗「こんなとこおらんで早く駅にいかんと!」
潔「やっ、駅の方には泰三が来とるわ・・・」
早苗「じゃあ、どうするんよ!」
潔「こっち・・・」
と「X」の火傷がある右手が暗闇から差し出される。
その手を掴む早苗。暗い竹薮の中で潔が早苗を押し倒している。
早苗「ちょっと! あんた!」
「X」の火傷がある潔の右手が早苗のスカートをさする。
早苗「ちょっと、そこはダメやって」
潔「ちょっとだけやし」
早苗「ダメやって!」
ドン!   と潔を押す早苗。
潔、頭をぶつけ気を失う。

**********************

目を覚ます潔。
夜が明けて、当たり一面の焼け野原。
ところどころ火が燻っている。

起き上がり、自分の手の平をじっと見る潔。
潔「早苗・・・」
立ち上がり、足を引きずって歩き出す。

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この記事を書いたセミプロ

Kitamatsu masataka

1980年生まれ。 座右の書は藤子不二雄「まんが道」。 代表作はカウパータイムスリップシリーズ。

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