カウパータイムスリップシリーズ第四弾。

「私の朝はシャワーを浴びながらマスターベーション(朝ション)をするところから始まる。

私は自分が朝ション派であることを公言することに何の抵抗もない。
なぜなら、ある調査結果では、成人男性の40%が朝ション派というデータが得られているのだ。
また、「アメリカン・ビューティ」という映画の中に、主人公が朝起きぬけにシャワーを浴びながら自慰行為にふけるシーンがある。
これは行為後の後始末が楽であるというアメリカ人的な合理主義を象徴しているとともに、朝ション派のメジャリティを物語っている好例といえよう。

私は朝ションの効能として、起床後早々の脳の活性効果を挙げる。
この点については大多数の朝ション派の人と同じ意見である。
しかしながら、私の場合、朝ションは必ず想像により行う。
過去のビジョンを寝起きの頭で再生すること、これが朝ションによる脳の活性効果を最大限に引き出す方法であると私は考えている。

と、ここまで冷静を装ってきた私も、今朝の朝ションにまつわる奇妙な体験を思い出すと再び戦慄を覚えずにはいられないのであった。

*********************************************

昨日は日が暮れてからも暑さがおさまらず寝苦しい夜だった。

今朝、目を覚ますとカーテンの外はまだ薄暗く、私は全身にびっしりと汗をかいていた。
そして、遠くに小鳥のさえずりを聞きながら、自分が夢精をしていることにはっと気が付いたのであった。
私は体の輪郭が定まらないような不思議な感覚を覚えつつも、汗と精液にまみれた体を洗うべくシャワーを浴び始めた。
そして、いつものように自慰行為にふけったのであった。
その時は二十代の頃に初めて行ったソープランドで優しく私を導いてくれたお姉さんの一挙手一投足を思い出していた。
そんな思い出に浸りながら絶頂を迎えた瞬間、私は叫び声のような歓喜の声を上げたのであった。

唐突に叫び声を上げてしまった自分に戸惑いつつも、気持ちは妙に満ち足りていた。
シャワーから出て、再びベッドに横になると私はそのまま再び眠りに落ちてしまった。

目を覚ますと、私はさっきと同じように全身に汗をかいて再び夢精をしていた。
そのことに驚きつつも、べとつく体の不快感を処置すべく私は再びシャワーに向かった。
今度は初恋の女性に街で偶然再会して、ホテルで貪るようにお互いを求めあうというシチュエーションで自慰行為にふけった。
そして、また絶頂の瞬間に歓喜の叫び声を上げたのであった。

再び目を覚ました時、私は汗まみれの下着が汚れていることとともに、あることに気が付いた。
最初に目が覚めた時からどれだけの時間が経ったのかはわからないが、カーテンの外は薄暗いままで、相変わらず小鳥のさえずりは遠く聞こえてくるのであった。
私はふとなんとも言いようのない不気味さを感じた。

私はその後も何度となく薄暗闇の中で汗まみれの夢精と朝ションを繰り返した。
その繰り返しは、まるで合わせ鏡に映された何重もの鏡像の奥に迷い込んで出られなくなったようであった。

私はこのまま一生、夢精と朝ションを繰り返すのではないか?

ふと、この考えが思い浮かんだ瞬間はさすがにぞっとしたが、再び押し寄せてくる眠気には抗えずそのまままた眠りに落ちたのであった。

*********************************************

今こうして今朝の出来事を記しながらも私の頭はまだ混乱している。
私はかつてあんなに絶倫だったことはなく、また絶頂とともにあんな歓喜の叫び声を上げたこともなかった。
私は最後に目覚めた時の汗まみれで汚れた下着のままで、今こうして日記を書いている。
その後、日は昇り一日は無事に過ぎたが、私は本当にあの合わせ鏡の奥から出てくることが出来たのだろうか・・・

明日になれば、朝がくれば、それはわかるだろう。
どうしようもない不安に押しつぶされそうな反面、私は自分の研究の手がかりを掴みかけているような気がしてならない」

中西章太郎プロフィール。
1975年生まれ。
応用物理学博士。
中西式タイムスリップ(通称:カウパー式タイムスリップ)理論の発見者
中学生の頃のあだ名はエロ西。

「いいかも!?」ボタンを押してこのアイディアを実現させよう!

みんなにこのアイディアを拡散する

Facebookコメント

コメント

この記事を書いたセミプロ

Kitamatsu masataka

1980年生まれ。 座右の書は藤子不二雄「まんが道」。 代表作はカウパータイムスリップシリーズ。

コメントする

CAPTCHA